2006年12月04日

梅田望夫著「ウェブ進化論」

梅田望夫著「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」ちくま新書、¥777
三つの意味で、この本は失敗でした。一つは読むのが遅すぎたこと。もう一つはこれまで梅田望夫氏を知らなかったこと、そして、この本を読み始めたために図書館で借りていた他の読みかけの本がすべて延滞リストに入ってしまったことです。

 別の場所(「読書編」の予告)に書きましたが、これはいい本でした。これも今年読んだ中での最上位にランクされる本だと思います。いや「時代を画する」1冊にあげてもいいかもしれません。もう少し早く読めばよかったと反省しています。結局、気になってしょうがなくなってしまったので、ブックオフもamazonも使わず、近くの本屋(3軒回ってやっと)見つけた本屋で買ってしまいました。

 私は、他のかたの書評のサイトとか、この本について言及されたものをほとんど読んでいませんが、いろいろな場所で話題になっていたようです。現在のインターネットが置かれている状況を、「世界のITの中心」シリコンバレーから俯瞰し、同時代的状況と歴史的(といってもたかだか15年程度ですが)経緯を踏まえ、日本、世界の「今」を伝えるエバンジェリスティックな本だといえると思います。すべてのPC利用者、すべてのインターネット利用者、いやすべての現代人が目を通すべき書物だとさえ思います。

 しかし、この本を読んで一番の収穫は、自分もこの本の指し示す同時代的状況に参加(加担)しているという、関係者としてのよろこびだと思います。ブログを含め、自分のやっていることが、そのまんま梅田氏の主張する世界、web2.0なんだなーということを教えてくれた。そういったよろこびが、この本を読んでありました。すでに読まれたかたも、そのように感じられた人は多かったのではないでしょうか。今さらと言われそうですが、多くの人に読んで欲しい本です。そして読むべき本だと思います。そして、ブログは読むけど自分では書いておられないかた、いらっしゃったらすぐにでもブログをはじめるべきです!

 この本をごく簡単に要約すると、「Web2.0」、「google」、「ロングテール」などの現代インターネット理解に不可欠のキーワードを解説した本なのですが、その底には三つの流れ、すなわち「インターネット」、「チープ革命」、「オープンソース」がある。このネット世界を動かす三大法則が「神の視点からの世界理解」、「ネット上に作った人間の分身が金を稼いでくれる新しい経済圏」、「(≒無限大)×(≒ゼロ)=Something、あるいは、消えて失われていったはずの価値の集積)」であるというものです。コンピュータやインターネットが、そのまま大企業による経済活動の結果で、われわれはあくまで与えられたものをよしとするしかなかったが、現在、そしてこれからはそうではない。主役は私たち、すなわちコンピュータ(インターネット)の「こちら側」に移りつつある。それがオープンソースであり、ブログなのです。

 世の中に初めて「TRON」の概念が現れたとき、「こいつはすげーなー」と感心しました。85年頃だったと記憶しています。しかし坂村氏の描くTRONは未来の話でした。彼の思想は紆余曲折を経て、「ユビキタス」としてさまざまな機器へ実装されていきます。あの当時描いていた私の未来像とは違うカタチでTRONは結実しました。
 「ウェブ進化論」で語られているのは、「いま」です。サブタイトルに「本当の大変化はこれから始まる」とあるので、できればもう少し梅田氏の描く「これから」が読みたかったのが本音ですが、それでもこの本は、「今」という時代を知る上では不可欠の本です。インターネットの「向こう側」では何が起きているのか? その思想的背景(というと大げさですが)は何か? 今の自分の立ち位置がよくわかると思います。
posted by zxcvaq at 05:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆☆(必読!) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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