タイトルからして暗い本です。書いてあることは、ごく当たり前のことと言えるかもしれません。言っていることには説得力があると思いますが、たぶん誰でも「そうかもなー」と思っているような内容で、特別なことではないと思います。日本の政・官・財における癒着やアメリカとの関係などの問題点を、口語的な言葉(関西弁口調)で書いてある本です。
では、これは読まなくてもよい本か? 必ずしも読まなければならないわけではないと思いますが(笑)、最終第4章の文章だけは紹介したいと思います。「全体が一色に塗りつぶされるような社会は、やはりどこかおかしい社会なのだ。気に喰わない奴が横にいて、向こうもこちらを気に喰わないと思いながらもそこにいるという関係のほうが、成熟した民主主義なのである。気に喰わない奴は排除してしまえ、殲滅してしまえという民主主義など、ありえない話なのだ」(p.195)。その通りだと思います。アメリカしかり。そして日本もまた、そちらの方向を向いてアメリカの後ろをついて歩いています。安倍新政権が発足しました。
気に入らないと言えることは、健全なことだと思います。議論をつくせばわだかまりが解けるというような単純なものでもありません。しかし自分の中で説明しきれないことも含めて、「気に入らない」と表明できる空気は大切だと思います。「それならそれでよい」と認められる寛容さが社会、あるいはもっと身近な職場とか、自分の周りにもっとあればと思うことがあります。
宮崎氏は「突破者」という著作がありますが、残念ながら私は読んだことがありません。おもしろそうだなとは思いつつ、まだ手に取るまでにいたっていないので、機会があれば読んでみたいと思います。